発達に凸凹がある子どもたちは、感情の理解や表現をすることがとても苦手です。
怒られているのにヘラヘラしてしまったり、悲しい場面で笑ってしまったり・・・
今日は、悔しいという感情を表現しない事例とその結果を ご紹介します。
【 状況 】
中1 野球クラブ ピッチャー
決勝戦でのこと
最終回に自分のエラーから逆転負け。
悔しくて泣いているチームメイトもいる中、息子はすぐに先輩といつも通り笑いながら話しています。
こういう事がよくあるので、チームメイトから反感をかうことも・・・
この場合、いくつかの理由が考えられます。
悔しいという感情に、名前があることを理解していない。
例えば わたしたちは、試合に負けたら悔しい!と感じますね。
ですが、悔しいという想いがあっても悔しいという名前を知らないと、イコールにはならないのです。
そんな時は、悔しがっているチームメイトをみて、
『 お友達、試合に負けて悔しがってるね。 』と、客観的に教えていくこと。
また、明らかに本人が悔しいと思っている場面で、悔しかったね。と共感していくことが、感情に名前をつけていくことになります。
悔しいという感情を、表に出してはいけないと思っている。
発達凸凹の子どもたちは、悔しい、悲しい、怖い・・・などのネガティブな感情が苦手です。
(ネガティブ=マイナスな感情ということではありません)
なので、そのような感情を出していいのか? 出していい場所なのか?を見極めきれていない場合があります。
苦手な感情を出すためには、その環境が安全でなくてはなりません。
チームメイトが悔しがっているから、ここは安全な場所なんだ。と思えるほど、器用ではないのですね。
むしろ、試合に負けて悔しがっているチームメイトがいる。自分はどうしたらいいのか?と、混乱しているかもしれません。
そんな時は、悔しいという感情をだしてもいいんだよ。
と、声をかけてあげるだけで、きっと楽になることでしょう。
どんな表情をしていいのか、分からない
悔しいという感情はある。
悔しいという感情に、名前があることも知っている。
だからといって、悔しい時にどんな表情をしていいのか?までは、教えてあげないとわかりません。
余談ですが、うちのむすこは、わたしが大きく目を見開いた顔をみて、怖いと震え泣き出します。。
わたしはびっくりした顔をしている訳ですが、むすこにとっては怖い顔なんですね。
このように、人の感じ方は人それぞれなのです。
そんな時は、そっと教えてあげること。
悔しい時は、こういう顔をするもんだ!という上から目線の指示ではなく、
悔しいという状況を作って、ママは悔しい時、こんな顔をするよ。
という事を、やってみせてあげればいいのです。
また、本当に悔しくないと感じていても、みんなが悔しがっているときはどんな風に立ち振る舞ったらいいのか?と、教えていくこと。
中学一年生。
本人がチームメイトから孤立することなく、大人が大好きな部活を楽しめる手助けをすること。
押しつけではなく、少しずつ 無理のない範囲で、経験の中で、社会の常識を教えていくこと。
これこそが、SST(ソーシャルスキル・トレーニング)なのです。
その後・ご感想
悦子さんからアドバイスをいただき、
(もしかしたら、悔しいとかいうネガティヴな感情を出したらよくないと思っているかも)
息子に、
『悔しかったら悔しいって言っていいし、怒りたかったら怒っていいんだよ。』とはなす。
しばらく経った公式戦でピッチャー。惜しくも負け。
帰宅してから息子が『あれじゃ勝てないよ。』と落ち込んで、イライラしたようす。
自分にもチームメイトにもいらだちを感じているようす。
今まで、負けて悔しいという感情を出した事がなかったのでビックリ。
また、負け試合のあとにチームメイトを責めるような言動をしたのも初めてで、自分の悔しさをだせるようになるきっかけに。
チームスポーツなので、仲間を責める言動を直接相手にだすことには賛否あると思うが、息子が家で自分の考えをだせることはよいことだと思う。
今まで何年も野球をやってきて、何もチームメイトのミスを指摘しない事に感心していたが、本人は出せなかっただけなのかな?
いままでナイスピッチングで勝っても、すごく喜んだり自慢したりするのをみた事がないので、勝ったらどういう反応するのか、楽しみです(^-^)
この事例は、ママがお子さんを観察していたからこそ 気付いたことなんですね。
みんなが悔しがっているのに、わが子だけが悔しがっていない・・・という違和感。
それを、怒るのでもなく、なぜだろう?という疑問を抱いたことが、解決につながったのだと感じました。